登山初心者の富士山御殿場ルート挑戦

初心者

今回は、トレッキングシューズすら履いたことがなかった登山初心者の私が、富士山の中でも「最も過酷」と言われる御殿場ルートに挑戦した記録を紹介します。
装備の工夫や体力面での対策、登頂までのリアルな行程などを通じて、同じように「初めて富士山に登ってみたい!」と思っている方の参考になれば嬉しいです。

御殿場ルートとは?

 富士山には主に4つの登山ルートがありますが、その中でも御殿場ルートは歩行距離が長く、山小屋が少なく、砂地が多いことで知られています。特に、吉田ルート・富士宮ルート・須走ルートに比べると難易度が高く、「富士山ルートの中で最も過酷」と言われることもあります。そんな御殿場ルートを、本格的な登山経験のない初心者の自分が選んだ理由は2つあります。
 1つ目は、ルートを選択するときに登山者数が少ないことを優先して調べました。初心者としては、自分のペースで焦らず登れることが何より大事だと思ったからです。実際に登ってみても、登山道は空いていて、前後の人との距離もしっかり取れました。周囲のペースに合わせて急かされることもなく、譲り合いながら無理のないスピードで進めたのは、このルートならではのメリットだと感じました。
 2つ目は、登山経験こそなかったものの、普段から週6で運動しており、持久力にはある程度自信がありました。しかし、御殿場ルートの長時間不安定な足場を歩き続ける疲労感や、標高による息切れは想像以上で、正直かなり体力を削られました。途中からはApple Watchで心拍数をチェックしながら、「上げすぎない・頑張りすぎない」ことを意識してペースを調整していました。特に新六合目から七合目ぐらいまでが最もきつかったです。

登山口

富士登山で準備してよかったもの/しておけばよかったもの

 基本的には水分や羊羹などの携帯食料やヘッドライトなど富士登山の必要装備で書かれているものを準備していきました。そこに書かれているもの以外で準備して良かった、準備したら良かったものも含めて紹介していきます。
 まずは、準備してよかったものです。1つ目はルートの説明でも書いたように「AppleWatch」は持って行ってよかったです。登山初心者であるため、体調管理が難しい中心拍数や30分に1回休憩するなど自分なりのペース配分をすることができました。途中少し頭痛がしたり気分が悪くなったりましたがその際にも自分の状況が判断できる材料になりました。2つ目はマフラータオルを首元の日焼け防止で持って行っていましたが、思いの外気温が高く汗をかいたので、タオルが汗を吸収してくれてTシャツが汗を吸わずに快適に過ごせました。3つ目はアプリですが、YAMAPがすごく便利でした。初心者な上に単独での登山だったため間違わずに登れるかが不安でした。もちろん入山時に係の方には経路を確認しましたが常に経路が確認できるのは安心できる上に残りの距離を見てペースも考えることができました。
 次に準備しておけば良かったものです。1つ目ですが、登る時ですが「トレッキングポール」です。御殿場ルートの概要でも書きましたが砂地が多く一歩進んでも滑るため半歩しか進まないことが多々ありました。トレッキングポールがあればもう少し体力が温存できたと思います。普段運動していて体力には自信があったものの、途中で頭痛や吐き気を感じるほど疲れたので、こうした装備の重要性を痛感しました。レンタルをしている山小屋もあったので事前に確認してレンタルするのもありだと多います。2つ目です。山小屋は消灯時間まではとても賑やかで電気も付いています。なので消灯時間までに休憩をしたい方は「アイマスク」と「耳栓」があると快適に過ごせる上に山頂へ行くための体力や下山への体調管理に役立ちます。
 持っていなくてもなんとかなるものも多いですが荷物にならないのであればちょっとした準備で登山中の快適さや安心感は大きく変わると感じました。

YAMAPの案内画面

初心者の自分が登頂した時間と行程を紹介

ここからは実際に掛かった時間と感想と景色を紹介します。
日付は2025年7月10日で開山初日に挑戦しました。
時間はYAMAPで計測しました。

5合目〜7合目9尺(赤岩八合館) 5時間55分

登頂開始は9:00時頃、15:00時過ぎには山小屋に到着しました。7合目4尺〜7合目9尺の区間は正直体力が限界を迎えていました。赤岩八合館のスタッフの方からは、「このペースならそのまま山頂まで行って戻ってこられる時間ですよ」と教えていただきました。ただ、自分の体力がどこまで持つか分からなかったため、無理せず夕食まで仮眠をとることにしました。

登山道
各所に登山道の目標が設置されていました

山小屋で宿泊

今回泊まった赤岩八合館では、夕食がカレー食べ放題という嬉しいサービス付き。疲れていた体には、温かくて味のしっかりしたカレーが沁みました。
 また、山頂アタック時に大きな荷物を山小屋に預けられるのは本当にありがたく、軽装で登頂に挑めたことで、かなり体力を温存できたと思います。
 さらに、初心者の自分にとって何より助かったのは、山小屋スタッフの丁寧なアドバイス。
「今のペースならこの時間に出るといい」といった具体的な声かけがあり、安心して登山計画を立てることができました。
 スタッフの皆さんがとても親切だったので、次回また御殿場ルートを登る際も、赤岩八合館を利用したいと思っています。

赤岩八合館からの夜景

7合目9尺(赤岩八合館)〜山頂剣ヶ峯 1時間51分

 ここからがラストスパートです。荷物も置いたまま登頂できたので快適でしたが標高が高いこと、前日の疲れが残っていることもあり前日のペースからは少し落ちました。剣ヶ峯(標高3,776m)はご来光を目指す登山者で非常に混雑します。日の出の時間ちょうどに着くと人が多くて動けない可能性もあるため、ご来光の2時間30分〜3時間前に出発するのがちょうどよいと感じました。

頂上からのご来光

下山

 ご来光を楽しんだ後、4時55分に下山を開始しました。目標は御殿場口8時55分のバスに乗ることです。途中で山小屋の朝食と宝永山への寄り道を挟みましたが、3時間25分で下山することができました。下山は下山での注意点がありました。小石などでバランスを崩しやすいところが多々あります。実際に2回ほど転けてしまいました。また、上りと違い息が上がることはないですが、踏ん張りが必要になるため足の筋肉をすごく使います。とくに「砂走り」と呼ばれる区間は、砂の上を一気に下るような状態で、まるで砂丘を下るような感覚。スピードが出る反面、止まりづらく、膝に負担がかかります。合目5尺を超えてからは膝周りの痛みとの戦いでした。筋力に自信がない方は要所で休憩を挟んだほうがいいと思います。

宝永山
砂走りの様子

まとめ

富士登山を終えて強く感じたのは、想像以上に体力を使うということでした。
普段運動をしていても、標高や足場、距離の長さでかなり体力が消耗しました。
ただし、体力があっても早めに休む、早めに行動して時間に余裕を持つ、快適になる装備はしっかり揃えることができれば登山初心者でも十分登れると思います。また、時間配分や残りのルートの難易度などは山小屋のスタッフさんに積極的に相談することが本当に大切です。現地の情報を得ることで安心して行程を進めることができました。
初めての登山で御殿場ルートを選んだのは、正直無謀だったかもしれません。それでも、厳しさの先にあったご来光や広大な風景、そして頂上に立ったときの達成感は、言葉では言い表せないほどのものがあり、「また登ってみたい」と思える経験になりました。この記事が、これから登山を目指す方にとって少しでも力になれば幸いです。