富士山 須走ルートは初心者でも登れる?1泊2日の全行程を紹介します

初心者

2025年からトレッキングを始めました。
今のところ登ったことがあるのは、富士山の御殿場ルートと石鎚山、それに地元の低山くらいです。
富士山は4年かけて、4つのルートすべてを登ってみようと思っています。2年目の今年に選んだのが、4ルートの中で一般的に2番目にきついと言われる須走ルートでした。
この記事では、五合目から山頂、そして下山までの全行程を、時刻つきで紹介します。かかった費用も包み隠さず載せています。これから須走ルートを登る方の参考になれば嬉しいです。

結論:初心者でも登れます。鍵は計画の立て方でした

結論から言うと、須走ルートは初心者でも登れます。

富士山 須走口山頂の鳥居と狛犬
須走口山頂の鳥居

ただし私の場合は、山小屋に泊まる前提で計画を組んでいました。そのうえで、初日に登頂して翌朝もう一度登るパターンと、2日目の朝だけ登頂するパターンの2通りを用意しておきました。
行程ごとの通過時刻をこまめに確認して、当日のペースに合わせてどちらかを選ぶ。そういう計画です。
判断の基準は決めていました。山小屋の夕食までに、山小屋と山頂を往復できるかどうかです。
本七合目の見晴館に着いたとき、山小屋の方に山頂までの所要時間を聞いてみました。

須走ルート 本七合目 見晴館 標高3200mの標識
本七合目 見晴館 標高3200mの標識

返ってきた答えは、16時過ぎには戻ってこられるだろう、というもの。それなら夕食に間に合います。
そう判断して、初日も登頂しました。実際に山小屋へ戻ったのは16時前、教えていただいた通りの時間でした。
つまり「初心者でも登れる」というのは、計画の立て方次第という条件つきの答えです。

今回の行程情報(YAMAPを参考にしています)

項目数値
行動時間13時間45分
距離16.4km
のぼり2,391m
くだり2,385m
コース定数(YAMAP)50(きつい)
平均ペース標準の90〜110%

※この記録は山頂に2回登った行程のものです。初日に登頂し、翌朝もう一度御来光を見に登っています。一般的な「山小屋泊+翌朝登頂」の1回のみの行程なら、行動時間ものぼりの合計も、これより短くなります。

コース定数50は、YAMAPの分類では「きつい」にあたります。平均ペースは標準の90〜110%だったので、特別に速かったわけでも遅かったわけでもありません。それでもこの数字が出るのが、富士山というコースです。
区間ごとにどのくらいかかったかは、このあとの行程で時刻とあわせて紹介します。ご自身の計画に近い区間だけを抜き出して、参考にしてみてください。

1日目|五合目から山頂、そして山小屋へ

まずは1日目の流れです。

須走口五合目(8:48)〜七合目 大陽館(11:33)〜本七合目 見晴館(12:12/12:36)〜八合目 トモエ館(13:17)〜九合目(14:06)〜須走口山頂(14:33)〜本七合目 見晴館(15:55)

時刻場所
08:48須走口五合目 出発
11:33七合目 大陽館
12:12本七合目 見晴館 着
12:36本七合目 見晴館 発
13:17八合目 トモエ館
14:06九合目
14:33須走口山頂
15:55本七合目 見晴館 着(泊)

8:48 樹林帯から歩き始めます

御殿場駅を7時45分に出るバスに乗り、須走口五合目に到着。準備を整えて、8時48分に歩き始めました。

須走ルート 五合目付近の樹林帯の登山道
樹林帯の中を進みます

須走ルートの最初の区間は、樹林帯です。足元は溶岩がごろごろしていますが、まわりは緑に包まれていて、木漏れ日の中を歩いていきます。富士山らしい砂礫の斜面を想像していると、いい意味で裏切られます。

この区間は日陰が多いので、日差しを避けて登れるのがありがたいところでした。

木陰が多く、直射日光が当たらないのは快適でした。ただ、足元は段差が多い道です。須走ルートは御殿場ルートより楽だと言われることもありますが、私にとっては、御殿場ルートとは違う種類のしんどさがありました。

須走ルートの樹林帯から見上げた富士山の山頂
木々の切れ間から山頂が見えました

木々の切れ間から、これから登る山頂が見えました。まだずいぶん遠くに見えます。

11:33 七合目 大陽館

須走ルート 樹林帯を抜けた先に広がる雲海
木がなくなり、眼下に雲海が広がります

登っているうちに、いつのまにか木がなくなっていました。振り返ると、眼下に雲海が広がっています。

足元も砂礫に変わり、一歩ごとに少し滑るようになりました。日陰もなくなるので、樹林帯とは歩き方も体感も変わってきます。

木がなくなると、日差しがきつくなりました。足場もさらに険しくなっていきます。

須走ルート 七合目の山小屋 大陽館
七合目の山小屋 大陽館

七合目の山小屋、大陽館に到着しました。五合目から2時間45分です。

ここで休憩をとり、カロリーメイトと塩タブレットで補給しました。今回は基本的に、山小屋ごとに補給をしながら登っています。

12:12 本七合目 見晴館に到着

歩き始めて3時間24分で、この日泊まる予定の見晴館(標高3,200m)に着きました。

ここで山小屋の方に山頂までの所要時間を聞き、その日のうちに登頂することを決めています。詳しくは前の章に書いた通りです。

見晴館には荷物を置かせてもらえたので、最低限の食料と水分だけを小さいカバンに入れて、身軽な状態で山頂を目指しました。

晴れている日中の富士山は、とにかく暑いです。前回の御殿場ルートでもそうでしたが、Tシャツ1枚が汗まみれになるほどでした。多少曇っても体感の暑さはほとんど変わらないので、長袖などは山小屋に置いていきました。

そのかわり、荒天になりそうならすぐに撤退して山小屋に戻ると決めていました。出発前には、山小屋の方に「今日の天気なら、Tシャツのままで上がっても大丈夫か」も確認しています。

24分ほど休んで、12時36分に山頂へ向けて出発しました。

13:17 八合目 トモエ館の限定あんぱん

八合目トモエ館の限定あんぱんとコーラ、背景に雲海
八合目トモエ館の限定あんぱんとコーラ

八合目のトモエ館で、限定のあんぱんとコーラを買いました。雲海を眺めながらの休憩です。

山小屋では、こうした食べ物や飲み物を買うことができます。「補給できる場所があるのか」は気になるところだと思いますが、須走ルートは七合目から上に山小屋が点在しているので、この点は安心材料になります。

記憶では、あんぱんが500円、コーラが600円でした。雲の上で食べるあんぱんとコーラは格別で、疲れが少し取れました。

14:06 九合目

須走ルート 九合目 標高3600mの標識
九合目。山頂まで400m、35分と書かれています

標高3,600m。標識には「山頂まで400m・35分」と書かれていました。

ここまで来ると、空気の薄さを感じ始めます。

私の場合は、頭痛がありました。Apple Watchで心拍数を見ながら、140を超えないように休憩をとって歩いています。医学的な根拠があるわけではなく、あくまで私なりの目安です。

14:33 須走口山頂に到着

歩き始めてから5時間45分。須走口山頂に到着しました。

須走口山頂から見下ろした雲海と山小屋
山頂から見下ろすと、ずっと下に雲海が広がっていました

眼下には、ずっと下に雲海が広がっています。ここまで登ってきたんだと実感する景色でした。

天気は快晴。風はほとんどなく、昼間は直射日光で暑いくらいでした。やはり、山頂からの景色は格別です。

富士山 須走口山頂の砂礫と広がる雲海
山頂から見た雲海

15:55 山小屋へ戻ります

山頂で景色を楽しんだあと、来た道を下って見晴館へ戻りました。到着は15時55分。山小屋の方に教えていただいた通りの時間でした。

下りは足元が滑りやすく、気を使いながら歩きました。

開山直後は剣ヶ峰に行けないことがあります

実は1日目、山頂に着いたら「お鉢巡り」をする予定でした。お鉢巡りとは、山頂の火口のまわりをぐるりと一周することです。途中には、富士山の最高地点である剣ヶ峰(3,776m)もあります。

ところが、7月9日の時点では、剣ヶ峰の方向は立入禁止になっていました。開山直後で、まだ雪が残っていたためです。

7月上旬の富士山頂 火口に残る雪
7月9日の火口。まだ雪がはっきり残っていました

2026年の吉田ルート・須走ルートの開山は7月1日。私が登ったのは、開山からまだ9日目でした。

2日目の朝は、帰りのバスの時間の都合で、御来光を見るだけにしました。結局、今回もお鉢巡りはできていません。昨年の御殿場ルートでも回れなかったので、これで2年連続です。

開山直後の7月上旬に登る方は、お鉢巡りや剣ヶ峰に行けない可能性があることを、あらかじめ知っておくと安心です。どうしても剣ヶ峰に立ちたい場合は、出発前に最新の登山道の通行情報を確認しておきましょう。

山小屋 見晴館に泊まる

正直に書くと、見晴館に着いたときはとても疲れていて、山小屋の中の写真を1枚も撮れませんでした。
夕食はカレーでした。寝床は雑魚寝で、狭かったです。翌朝は1時過ぎに出発する予定でしたが、あまり眠れませんでした。

富士山の本七合目から見た夕方の影富士
雲海に映った影富士

17時半ごろには影富士を見ることができました。影富士とは、富士山の影が雲海や地上に映る現象です。去年の御殿場ルートでは、夕方に山小屋にいたとき天気が荒れていて、見ることができませんでした。今回は、たまたま涼みに外へ出たときに見ることができて、とても感動しました。

2日目|もう一度山頂へ、須走口山頂の御来光

2日目は、御来光を見るために、もう一度山頂を目指しました。

時刻場所・できごと
01:22本七合目 見晴館 出発
4時前須走口山頂 到着
04:42須走口山頂で御来光
05:37見晴館 着(荷物を回収)
05:51見晴館 発(下山開始)
07:48須走口五合目 到着

1:22 真っ暗な中、見晴館を出発

深夜1時 富士山の見晴館から見た夜景と月
出発前、見晴館から見た夜景と月

出発は夜中の1時22分。前日に登った道を、もう一度山頂へ向かいます。

睡眠不足もあって、この登りはとても大変でした。

吉田ルートと合流するまでは、自分のペースで歩けます。ところが九合目を越えたあたりから道幅が狭くなり、誘導員さんに進むよう促されて、自分のペースで登れなくなりました。今回の山行で、ここが一番の試練でした。

夜明け前の富士山から見た月と麓の街明かり
3時46分。まだ暗く、麓の街明かりが見えます

4:42 須走口山頂で御来光

山頂に着いたのは、4時前。御来光を待つうちに、4時28分ごろから空が少しずつ明るくなってきました。

富士山 須走口山頂から見た御来光
4時42分、須走口山頂で見た御来光

そして4時42分、御来光です。見たのは山小屋からではなく、須走口の山頂からでした。

昨年は寒さが気にならず、Tシャツにウィンドブレーカーで過ごせたのですが、今年はとても寒かったです。

それでも、御来光はやはり何度見ても良いものでした。昨年、剣ヶ峰側から見たときは、火口越しに水平線から昇ってくる御来光でした。須走・吉田ルート側の山頂からは、間に何もなく、水平線から昇る御来光を見ることができます。

朝日に染まる富士山の剣ヶ峰(火口の対岸から)
火口の対岸に、朝日に染まる剣ヶ峰が見えました

火口の向こう側には、朝日に染まる剣ヶ峰が見えました。今回は行くことができなかった場所です。

5時37分に見晴館へ戻って荷物を受け取り、5時51分に下山を始めました。

下山|砂走りを一気に下る

須走ルート 下山道の砂走り
6時20分、砂礫の下山道

5時51分に見晴館を出て、須走口五合目に着いたのは7時48分。下りは約2時間でした。

須走ルートの下山道には、砂の斜面を一気に下る「砂走り」があります。足元が滑って、転びそうになる場面がありました。砂ぼこりや日差しの対策には、サングラスが役に立ちました。

五合目からは、8時台のバスで御殿場駅へ戻りました。

御殿場ルートとの違い【2ルート登って分かったこと】

昨年の御殿場ルートと比べて、感じた違いをまとめます。

須走ルートは、御殿場ルートより楽だと言われることがあります。ただ、私の感覚では、どちらがきついというより、きつさの種類が違いました。須走ルートは、序盤の樹林帯から段差が多いのが特徴です。

項目御殿場ルート(2025年)須走ルート(2026年)
日中の暑さ晴れるとTシャツが汗まみれ同じく、晴れるとTシャツが汗まみれ
山頂の朝の寒さTシャツ+ウィンドブレーカーで平気とても寒かった
御来光剣ヶ峰側から、火口越しに見た須走口山頂から、間に何もない水平線に見た
影富士荒天で見られず見られた
下りの砂走り大砂走り(御殿場)と砂走り(須走)は、体感ではあまり変わらない
お鉢巡りできずできず(剣ヶ峰方向は立入禁止)

費用|入山料と山小屋代で15,000円

気になる費用も載せておきます。富士登山でかかったのは、入山料と山小屋代です。

項目金額
入山料(静岡県 富士山入山証・須走ルート・宿泊)4,000円
山小屋 見晴館 1泊11,000円
合計15,000円
静岡県 富士山入山証(須走ルート・宿泊4,000円)の電子入山証
静岡県の電子入山証(須走ルート・宿泊)

入山証は、スマートフォンで表示する電子入山証でした。
※QR部分はカットしています。

須走ルートを登るなら、これだけは知っておいてほしいこと

最後に、実際に登ってみて、これから須走ルートに挑戦する方に伝えたいことをまとめます。

  • 計画は2パターン用意しておく。「山小屋の夕食までに往復できるか」のような判断基準を決めておくと、当日に迷いません。
  • 九合目から先は、自分のペースで登れないことがある。吉田ルートと合流したあと、九合目を越えると道幅が狭くなり、誘導員さんに促されながら進むことになります。
  • 日中は暑く、夜明けは寒い。同じ7月でも、年によって山頂の朝の寒さは違いました。迷ったら山小屋の方に聞いてみるのがおすすめです。
  • 開山直後は、剣ヶ峰に行けないことがある。7月上旬に登るなら、お鉢巡りができない可能性も考えておきましょう。
  • 下りは滑りやすい。砂走りでは、転ばないよう足元に気をつけてください。

装備では、マフラータオル、Apple Watch、塩タブレットと行動食、サングラスを持って行ってよかったと感じました。逆に、次回は鍔が全体にある、顔全体をカバーできるサイズのハイキング用の帽子を持って行こうと思っています。

まとめ

須走ルートは、初心者でも登れるルートです。ただしそれは、山小屋泊を前提に、当日のペースに合わせて選べる計画を立てていたからこそでした。

樹林帯の段差、九合目から先の渋滞、日中の暑さと夜明けの寒さ。しんどい場面もありましたが、快晴の山頂からの景色、見ることができた影富士、水平線から昇る御来光にも出会えました。

4年かけて4ルートを登る計画は、これで2年目が終わりました。お鉢巡りは、2年連続でできませんでした。これから須走ルートに登る方の参考になれば嬉しいです。